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深呼吸のしすぎは体に悪い!?呼吸のしすぎ=「呼吸過多」とは?

皆さんこんにちは。猫背改善パーソナルトレーニング『STUDIO BE FREE』トレーナーの吉田です。

前回の記事では「呼吸機能のセルフチェック」と題して、「安静呼吸のセルフチェック」のテストをいくつかご紹介してきました。

詳細についてはぜひ、前回の記事をご参照ください。

私たちは山などで遭難しても三週間ほどは何も食べずに生き延びることができると言われています。

しかし、呼吸はそうはいきません。特殊な訓練を積んでいる人は別かも知れませんが、多くの場合、人は5分間呼吸ができないと命を落としてしまいます。それだけ呼吸というのは無意識に行いながらも、生命活動に与える影響が大きいということです。

今回はあまり知らていない、呼吸に関するお話しをしていきたいと思います。

目次

深呼吸のしすぎは体に悪い!?

いきなりタイトルに「深呼吸のし過ぎは身体に悪い!?」という言葉をつけましたが、これを聞いて

「ええっ!?」

と驚く方は多いのではないでしょうか?

深呼吸と聞くと、「空気を多くの身体に取り込めて、身体に良さそう」なイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか?

「大きく息を吸って、酸素を体に取り入れましょう」

というフレーズは、テレビの健康番組や、様々な健康法でもよく耳にする言葉ではないかと思います。

しかし近年、この「大きく息を吸う」ことが必ずしも体に良いとは限らないという事実がわかってきました。

深呼吸の誤解

深呼吸に対してよくある誤解「息を多く吸えば、酸素を多く体に取り込める」と思われていること。

コロナ禍で有名になった「血中酸素飽和度」という数値があります。これは「血液中のヘモグロビンの何%が酸素と結び付いているか」を示す数値です。

呼吸で吸った酸素(O2)は肺胞から血液中のヘモグロビン(Hb)と結びつき、全身の組織へと運ばれていきます。

そのために血中酸素飽和度が高ければ、それだけ多くの酸素が体に取り込めるということになるのですが、健康な人であれば、血中酸素飽和度は95~99%はあると言われています。

つまり「深呼吸で多く酸素を吸ったところで、ヘモグロビンが運べる酸素の量は決まっている」ということ。言い換えれば、たくさん息を吸っても、身体に取り込める酸素の量が増えるわけではないということです。

不健康な人ほど呼吸の量が多い

それどころか、「不健康な人ほど呼吸の量が多い」というデータも存在します。

呼吸時に「吸う空気の量」と「吐く空気の量」を合わせて「呼吸量」と呼びますが、健康的な安静呼吸量の平均値は1分間あたり4~6リットル前後とされています。

しかし、喘息患者の場合は毎分13~15リットル。健康な人と比べて3倍から4倍も多く呼吸をしていることになります。

また、その他の病気、睡眠障害、糖尿病、心臓病、癌、肝臓疾患などの患者の場合は1分間あたり13~16リットルの呼吸量があると言われています。

病気と呼吸量との関係については、ぜひリンク先の記事もご参照ください。

呼吸で重要なのは酸素ではなくて二酸化炭素!?

じつは正常な呼吸機能において重要なのは酸素ではなくて「二酸化炭素」の方なのです。

二酸化炭素と聞くとは車の排気ガスと同じように思われがちなのですが、じつは身体にとって必要な物なのです。

「呼吸では酸素を吸って、二酸化炭素を吐く」

イメージがありますが、正確に言うと「吐く息で余った二酸化炭素を体の外に排出している」と言った方が良いかもしれません。

酸素を身体に供給するには二酸化炭素が不可欠

先ほど、呼吸で吸った酸素は血液中をヘモグロビンによって全身の組織に運ばれると述べました。組織というのは、脳や内臓、筋肉などですね。

各組織に行き着いたヘモグロビンは酸素を切り離す形で細胞に酸素を渡し、代わりに代謝によって発生した二酸化炭素を受け取ります。

そして静脈を通って肺まで戻ったヘモグロビンは二酸化炭素を肺に届け、呼気(こき:吐く息)で体の外に排出される。

ここまでの過程が呼吸の仕組みなのですが、細胞に酸素が届けられる際、ヘモグロビンから酸素を切り離すために必要なのが「二酸化炭素」なのです。

細胞内と血液中の二酸化炭素の量が多いほどヘモグロビンは酸素を切り離しやすくなります。これをボーア効果と呼びます。

呼吸の量が多すぎると二酸化炭素が不足し、酸素の供給がうまくできなくなる。

言い換えれば、体内の二酸化炭素が不足するとヘモグロビンは酸素をうまく切り離せなくなる。つまり、せっかく酸素を吸っても、細胞はヘモグロビンから酸素を受けとることができないという事になります。

こうなると、いくら呼吸を行っていても体への酸素供給がうまくできないというと事になります。

そして、体内の二酸化炭素が不足する大きな原因が「呼吸の量が多すぎること」。つまり、呼吸のし過ぎにあるのです。

必要なのは「過度な酸素」ではなく「適度な二酸化炭素」

深呼吸のようにたくさん息を吸う事によって酸素を多く取り入れると、相対的に血液中の二酸化炭素の量が少なくなります。

これが一時的なものであれば問題はないのですが、慢性的に血液中の二酸化炭素が不足すると、呼吸で吸った酸素はヘモグロビンと結合したまま、細胞に供給できません。

つまり、「酸素を多く体に取り入れよう」として行っている深呼吸が、体内の二酸化炭素を不足させ、結果酸素を体に届きにくくいてしまう!ということですね。

呼吸において必要なのは「過度な酸素」ではなく「適度な二酸化炭素」である!ということを覚えておいてください。

自分が「呼吸のし過ぎ」=「呼吸過多」かどうかを知る目安が「コントロール・ポーズ」

先ほどお話しした通り、健康的な安静呼吸量の平均値は1分間あたり4~6リットル前後と言われています。

また1分間あたりの呼吸の回数は、成人の場合は12~20回とも言われています。

呼吸の量や回数が多すぎる状態は「呼吸過多」と呼ばれますが、「自分が呼吸過多かどうか?」はなかなか実感しづらいかと思います。

そこでオススメしたいのが前回の記事で「安静呼吸のセルフチェック」としてご紹介した「コントロール・ポーズ」です。

「コントロール・ポーズ」の方法については下記のリンクの動画の他、前回の記事もご参照ください。

コントロール・ポーズの判定基準

・10秒未満:呼吸量が非常に多く、適切な酸素供給ができていない可能性が高い。

・10秒~20秒未満:呼吸量が多く、運動をしたり、精神的なストレスがかかると息切れ、喘息、疲労が見られる可能性がある。

・20秒~40秒未満:呼吸量の問題は殆どないが、まだ理想的な酸素供給ができているとは言えず、改善の余地がある状態。

40秒以上:理想的な呼吸量。脳と体に適切な酸素供給ができていて、楽に呼吸を行える。

脳や体の各組織が活発に働くことで、頭が冴えて体が軽くなり、免疫力やストレス耐性も高い状態にあると考えられる。

体の状態に合わせて「安静呼吸と努力呼吸を切り替えられる」ことが重要

私たちはその時々の体の状態に合わせて呼吸の量を変化させています。

ソファでくつろいでいる時のようにリラックスしている時の呼吸は静かな「安静呼吸」を行い、ランニングの後のような強度が高い運動の後は、肩で息をするような荒い「努力呼吸」と呼ばれる呼吸を行っています。

「正しい呼吸」とは1つではなく、その時々の状況で変わるんですね。

大事なことは「必要に応じて呼吸状態を切り替えることができること」。

座ってテレビを見ているときに、まるで100メートルを全力で走った後のように「はぁ、はぁ」と荒い呼吸をしていたら、どう見ても正常には見えませんよね。

呼吸量を調節する「呼吸中枢」

呼吸は自分の意思でコントロールするものではなく、「脳によって無意識にコントロールされるもの」です。

具体的には脳の「呼吸中枢」と呼ばれる部分が呼吸の調節を担っており、血液中の二酸化炭素濃度やPHなどを観察し、呼吸を促す指令を出して呼吸の量を調節しているのです。

しかし、慢性的な呼吸過多が続いてしまうと、この呼吸中枢がエラーを起こしてしまうと言われています。

その結果、「呼吸過多」がその人にとっての自然な呼吸だと「錯覚」してしまうのです。

コントロール・ポーズの理論的背景

前述の「コントロール・ポーズ」では息を止めることで、少しずつ「二酸化炭素の濃度」が高くなっていきます。

慢性的な「呼吸過多」状態になっている人は「体内の二酸化炭素が常に不足している状態」でもあります。

そのため、「体の二酸化炭素への耐性」が低くなり、「本題であれば許容できる二酸化炭素量」であっても、呼吸中枢がエラーを起こしているため、すぐに息を吸いたくなる訳です。

まとめ

今回は少し理論的なお話になりました。

ぜひ、この記事を読んでいただいた後、「コントロール・ポーズ」でご自身が「呼吸過多」かどうかをチェックしていただければと思います。

「深呼吸のしすぎは体に悪い!?」というタイトルでしたが、1つ補足させていただくと、深呼吸が絶対にしてはいけないものだ!というわけではありません。

深呼吸には自律神経のバランスを整え、心身をリラックスさせる効果もあります。

何事もそうですが、「やり過ぎは良くない」ということですね。

次回は「呼吸過多が招く体への悪影響」について見ていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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