90%の人が知らない!?猫背になってしまう本当の原因①:ボディスキーマ(身体図式)とは?
みなさんこんにちは!猫背改善トレーニングジムSTUDIO BE FREEトレーナーの吉田です。
以前の記事でもご紹介したように日本は世界でも有数の猫背大国であり、国民の9割以上の人が猫背(あるいはその予備軍)であるとも言われています。
しかし「なぜ猫背になってしまうのか」その本当の原因は実はあまり知られていません。
運動不足で筋肉が弱っているから?
デスクワークで体が硬くなっているから?
残念ながら、どちらでもありません。そこで今回は、ほとんど知られていない猫背の根本的な原因についてお話をしていきます。
目次
- ○ 猫背の原因は脳にあった!?
- ○ インプット➡️統合➡️アウトプットの3段階で姿勢は調節されている。
- ・全身の感覚器官=センサーからのインプット
- ・脳はインプットされた情報を統合し、状況に合わせて最適な姿勢を選択する
- ・脳から筋肉にアウトプットし、姿勢が成り立つ
- ○ 脳の中にある身体の地図「ボディスキーマ(身体地図)」とは?
- ・ボディスキーマの具体例
- ・段差でつまづくことが多いのは、ボディスキーマが歪んでいるから!?
- ・ボディスキーマが歪むことで猫背になる
- ○ まとめ
猫背の原因は脳にあった!?
まず結論から申し上げると、猫背の根本的な原因は「脳」にあります。
脳と聞くと、記憶力や認知機能などがイメージされることが多いですが、じつは姿勢の保持、もっと言えば運動全般にも脳の機能が大きく影響しているのです。
インプット➡️統合➡️アウトプットの3段階で姿勢は調節されている。
猫背の原因が脳にあるとは?
その理由をお話しする前に、そもそも私たちは姿勢をどのように調節しているのか?そのメカニズムについて簡単にご紹介していきたいと思います。
私たちの姿勢は「インプット➡️統合➡️アウトプット」という3段階で成り立っています。
全身の感覚器官=センサーからのインプット
まず第1段階は体にあるセンサーに相当する感覚器官からのインプットです。
目:視覚、鼻:嗅覚、口:味覚、耳:聴覚:皮膚:触覚の五感をはじめ、耳の奥にある、三半規管や耳石(じせき)と呼ばれる器官で感じる平衡感覚(体の傾きや、どの方向に向かって加速しているのかを感じる感覚)、この他にも筋肉や関節、骨、内臓に至るまで、私たちの体には無数のセンサーが備わっています。
このセンサーが知覚神経という神経を介して絶えず脳に何千億もの情報をインプットしているのです。
脳はインプットされた情報を統合し、状況に合わせて最適な姿勢を選択する
第2段階の統合では、全身のセンサー(感覚器官)からインプットされた情報を統合(まとめる)し、それを基に
「自分は今、平らな場所に立っているのか?それとも上り坂に立っているのか?」
「空だの位置はまっすぐか?それとも横に傾いているのか?」
といった具合に、自分が今どんな場所にいて、どんな位置に体があるのかを正しく判断し、その状況に応じた最適な姿勢を選択します。
脳から筋肉にアウトプットし、姿勢が成り立つ
そして脳は運動神経を介して体の各部位の筋肉などにアウトプットし、姿勢が調節されます。
上り坂に立っているのであれば、後ろに仰け反れば後方に倒れてしまうので、体の重心をやや前に移動することでバランスを保つ、といった具合ですね。
このようにインプット➡️統合➡️アウトプットの3段階を絶えず行い、「転んで頭を打たない姿勢」「何かあればパッとすぐに動ける姿勢」「疲れにくく、身体への負担が少ない姿勢」を成り立たせているのです。
脳の中にある身体の地図「ボディスキーマ(身体地図)」とは?
ここからは、姿勢調節の3段階プロセスをさらに深掘りしてみましょう。
私たちの脳の中には「身体の地図」とも言うべき機能が備わっています。これを「ボディスキーマ(身体図式)」といい、日常生活の中の無意識のレベルで、自分の体がどうなっているのかを把握する機能を指します。
ボディスキーマの具体例
少し難しい話になってきましたが、ボディスキーマとは「自分の体に対するイメージ」と捉えていただいても結構です。
例えば通勤ラッシュの駅の中で、行き交う人の雑踏の中、人とぶつかることなくスムーズに進むことができるのは「自分の体の大きさや、どのくらいの速さで動いているのか」を無意識のレベルで認識、かつ判断しているからです。
また、階段を上る場面もそうです。階段を上る上る前にいちいち
「この階段は高さが○cm、幅が○cmくらい・・・よし、これくらい脚を挙げればつまずいて転ばないはずだ!」
などと考えなくても、スイスイとスムーズに階段を上ることができるのも「階段の段の高さや幅と、自分の脚の長さや足の大きさの関係」を瞬時に認識しているからです。
このように、日常生活で円滑に動作を行えるのは脳のボディスキーマが正確だからなのです。脳は全身のセンサーから絶えずインプットされる情報を基に、常にボディスキーマをアップデートしています。
段差でつまづくことが多いのは、ボディスキーマが歪んでいるから!?
僕はパーソナルトレーナーになる前、介護予防運動施設でインストラクターとして働いていました。その中で、ご利用者様から「最近、ちょっした段差でつまづくことが増えてきてね・・・足腰の筋肉が弱っているのかな」ということはご相談を受けることがありました。
ところが、実際にご利用者様の脚の筋力を測定してみると、充分な筋力は持っていらっしゃる方も多くいらっしゃいました。ですが、別の検査でボディスキーマの精度を測定してみると、多くの方に著しい歪みが見られたのです。
ここから考察できるのは、「段差につまづきやすい原因は筋力低下ではなく、ボディスキーマの歪みにある可能性」です。
この場合「つまづいて転倒しないよう、脚の筋肉を鍛えましょう」と筋トレを頑張っても、脳の中のボディスキーマが歪んだ状態では、根本的な解決には繋がらないということです。
ボディスキーマが歪むことで猫背になる
話が少し逸れてしまいましたが、ボディスキーマに歪みが生じると、姿勢も悪くなってしまいます。
先ほどもご紹介したように、私たちの姿勢はインプット➡️統合➡️アウトプットの3段階のプロセスで「今どんな場所に、どういう体の位置でいるか」に合わせて最適なもの(転びにくく、パッとすぐに動ける姿勢)に調整されています。
このプロセスはすべて脳の中のボディスキーマに基づいて、無意識のレベルで行われています。
そのため、ボディスキーマの精度が低下すると「自分の中の真っ直ぐな姿勢」と、実際の姿勢の間とでギャップが生じてきます。これが猫背をはじめとする不良姿勢の原因となるのです。
まとめ
今回は『90%の人が知らない!?猫背になってしまう本当の原因①:ボディスキーマ(身体図式)とは?』と題して、
・姿勢は体のセンサー(感覚器官)からの情報のインプット➡️脳で情報を統合➡️筋肉へアウトプットという3段階で調節されている。
・この3段階のプロセスは脳のボディスキーマ(身体図式)という機能に基づいて行われている。
・そのためボディスキーマが歪むと、最適な姿勢がとれなくなる=猫背に繋がる。
というお話をしてきました。
では、なぜボディスキーマの精度は低下してしまうのでしょう?次回は「ボディスキーマの精度が歪む原因」についてご紹介していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。