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現代人を蝕む不健康現象③「体が迷子状態」

 みなさんこんにちは。学芸大学駅徒歩5分、パーソナルトレーニングSTUDIO BE FREEトレーナーの吉田です。

 『現代人を蝕む不健康現象』と題してお送りしてきています。前回は「口呼吸」についてお話をしてきました。

 今回は「体が迷子状態」についてご紹介していきます。

目次

自分の体がどこにあるのかがわからない?

「現代人は自分の体がどこにあるのかが分からなくなっている人が多い」と聞いたら、どう思うでしょうか?おそらく、ほとんどの方が「何を言っているんだ。自分の体がどうなっているかぐらい分かるに決まっているでしょう?」と思うのではないでしょうか?

 では質問を「あなたは自分の姿勢が良いと思いますか?」に変えてみるとどうでしょう?おそらく、「自分では悪い姿勢は悪くなないと思うけれど、良い姿勢かどうかは自信がない」という方も多いのではないでしょうか?

 実際、猫背改善のトレーニングの中でクライアント様の姿勢をチェックさせていただくと、ほとんどの方は「自分が思っていたより猫背で驚いた」といった声を多くいただきます。

 これは「自分では真っすぐのつもりでも、実際は猫背になっている」、つまり「自分の体の位置が感覚的に分からなくなっている」と言い換えることができるでしょう。これが「体が迷子になっている状態」です。

体の地図=ボディマップとは?

 では、なぜ「体が迷子の」状態が起きているのか?そこには「ボディマップ」というものが関係しています。

 ボディマップは日本語では「身体地図」と呼ばれているもので、

▪️自分の背骨がどこにあるのか

▪️骨盤がどこにあってどう動いているのか

▪️腹筋はどこにあるのか

▪️姿勢がどうなっているのか

などを自分の脳できちんと認識することをいい、脳の「大脳頭頂葉」の働きです。

ボディマップがあることで、無意識でも体を動かすことができる

 このボディマップがあることで、私たちは無意識にでも身体を動かすことができます。たとえば、ボディマップがまだできていない赤ちゃんは、お尻が痒くても自分で掻くことができません。成長の過程で徐々に自分の体の仕組みを覚えることで、無意識に体を動かすことができるようになるのです。

ボディマップの具体例

 階段を1段の高さを確認しなくても意識せずにスムーズに上り下りできたり、テーブルの上のコップを距離や位置を意識せずとも手を伸ばしてパッと取れるのも、自分の手脚の長さはもちろん、関節をどの程度曲げればちょうどよいのか、力加減などを脳が把握しているからです。

 優れたアスリートや楽器演奏者などは、求められる理想の動きに応じて自分の体を正確に動かしているといえます。これも常に敏感にボディマップを更新し続けている結果のパフォーマンスだと考えられています。

ボディマップを形成するには「感覚刺激」のインプットが必要

 このボディマップが形成されるにあたって重要なのが、体を動かすことで全身の感覚器官から脳にインプットされる「感覚刺激」です。

 これは上記の『ヒトが動く仕組み』のイラストをご覧いただくとイメージがつきやすいかと思います。

 私たちはヒトは上記イラストのように、「①体から脳への感覚刺激→②脳で刺激を処理→③脳から体への信号→④体の行動」

というサイクルで動いています。いわば「脳と体の結びつき」ともいえるこのサイクルの中で、ボディマップが形成されるのは、①、②の部分です。

 体を動かすことで「関節、筋肉の働き」をセンサー(感覚器官)が感じ取り、その情報が脳にインプットされることで頭頂葉の働きが活性化されます。

ボディマップが明確になれば健康になれる

 それによってボディマップが明確になり、運動の指令を出す「前頭葉」、運動の調節を行う「小脳」なども活性化し、③、④の部分である「姿勢の調節」や「体の動き」も正しくなります。また、大脳全体が活性化し、体は過度に緊張することもなくなるので、

▪️自律神経の乱れが改善し、疲労やストレスが軽減する

▪️呼吸が正常化し、酸素がスムーズに脳や体に行き渡るようになる

など、健康増進の効果も期待できます。
 
 このように「脳と体の結びつき」のサイクルが正常であれば、体が正しく動くことができ、忙しい生活の中でも負担は小さく健康的に過ごすことができるのです。

常に更新され続けているボディマップ

 このボディマップは常に更新され続けているといわれています。立って、あるいは寝転びながら読書をしているこの瞬間も、寝ている間ですら、

▪️関節や筋肉が動く感覚
▪️五感
▪️平衡感覚

などなど・・・全身のセンサーから脳に感覚情報が絶えず脳にインプットされ、リアルタイムで更新中なのです。

「体が鈍る」のはボディマップがぼやけているから!?

 この「更新」は、ボディマップが「ぼやけていく」状態もつくりだしてしまいます。

 インクがどんどん薄くなり、かすれてしまった地図は読むことができません。不鮮明な地図では情報量が足りず、目的地にたどり着くことができまんし、そんな地図で旅に出たら危険ですよね。

 これはボディマップも同じです。「体が鈍ってきたから鍛えよう」と急に慣れない筋トレやジム通いを始めた人が体を痛めたり、怪我をしてしまうのは方がいますが、その背景にはボディマップが改悪し、体が迷子状態にあることも考えられています。

現代のライフスタイルがボディマップをぼかしてしまう!?

 なぜボディマップがぼやけてしまうかというと、その原因は現代のライフスタイルにあります。

▪️デスクワーク中心の働き方
▪️移動は車や電車の利用が中心
▪️自宅と職場の往復がほとんどの単調な生活


 こうした現代人特有のライフスタイルでは、五感に対する刺激も偏り、減ってしまいます。手や口、目を動かすことによる感覚情報は得られても、運動量が少ないため、足や胴体などの体を動かすことで得られる「体性感覚」や「平衡感覚」の情報は不足してしまいます。ますます脳は情報不足になり、迷子になっていってしまうのです。

 体を動かさずに単調な生活を繰り返すだけでは、脳はどんどん使わない機能を捨ててしまう傾向にあります。脳がサビつけば体もサビついてしまいます。

鈍っているのは体ではなく、脳の方

 脳というのは体を動かさずに単調な生活を繰り返すだけでは、どんどん使わない機能を捨ててしまう傾向にあります。脳がサビつけば体もサビついてしまいます。

「脳への感覚刺激があるかないか」というインプットの違いは、体へのアウトプットにもすぐさま変化をもたらします。思い通りに体が動かないのは、脳の中にある体の地図「ボディマップ」がぼやけている証。

▪️ちょっとした段差に足を引っ掛けてしまう

▪️久しぶりにスポーツでもしようと思ったら体が思い通りに動かない

など。そんな経験から「体が鈍った」と感じることはあるかもしれません。

 しかし、じつは鈍っているのは体ではなく、脳の方。古い地図のままでは目的地に辿り着けないように、脳の中にある体のイメージ、ボディマップも更新する必要があるのです。

ヒトが本能的に恐れるのは「転んで頭を打つこと」

 じつはヒトのみが獲得した「直立二足歩行」は生物の中で最も長時間移動できる歩行方法といわれています。頭部の重さは体重の10%程度でボウリング球を細い首に乗せているようなものですが、重心を高くすることでヒトは移動効率を劇的に上げることができたのです。

 そんな直立二足歩行という最強の移動方法を手に入れたヒトですが、引き換えに大きな弱点も抱えることになってしまいました。「4足歩行に比べて転びやすい」という欠点です。

 転んで頭を打てば体の司令塔である脳が損傷を受けてしまいます。まさに死の危険を伴います。そのため、とにかく転ばずにいるために、

▪️五感による情報収集
▪️脳からの正しい信号
▪️それを適切に体が実行すること

が重要になるわけです。

体が迷子になることで不調をきたすようになる!?

 そんな「体が迷子」状態になると、不必要に交感神経が優位の状態が続くことで

▪️過緊張のために肩凝りや腰痛になる
▪️ストレスを感じやすくなる
▪️エネルギーを消耗し、疲れやすくなる
▪️免疫力が低下する

など、現代人を悩ませる「慢性的な不調」を引き起こす一因にもなるのです。

座りっぱなしで単調な生活が体を迷子にしてしまう

 ボディマップが正常であればヒトは目を瞑っていても真っ直ぐに立って歩くことができ、ぬかるみやマットレスなど、柔らかいものの上でも転ばずにバランスを保てます。これは足をはじめ、全身の感覚がきちんと働いて「自分はいま、「どこでどう」なっているのか」を感覚的に認識をしているからです。

 ところが、座りっぱなしで単調な生活を続けていると、脳にインプットされる感覚刺激に偏りや不足が生じてしまいます。すると脳は情報不足になり、「転ぶ危険性があるかも」と安心できなくなります。そして「危険に備えよ!」と信号を送り、体は力が抜けないON状態=交感神経優位になってしまうのです。

まとめ

▪️ボディマップとは、脳の「大脳頭頂葉」の働きで、自分の背骨がどこにあるのか、骨盤がどこにあってどう動いているのか、腹筋はどこにあるのかなどを自分の脳できちんと認識すること

▪️ボディマップは体を動かすことで全身の感覚器官(センサー)から感覚刺激が脳にインプットされ、情報処理することで形成される

▪️ボディマップは常に更新されているが、デスクワーク中心、運動不足になりがちな現代では脳にインプットされる感覚刺激が不足し、ボディマップがぼやけてしまう人が増えている

▪️ボディマップが欠けて「体が迷子状態」になってしまうと、「転んで頭を打たない」ように、常に交感神経が優位なON状態が過剰に続くようになる

▪️その結果、肩凝り、腰痛、エネルギー不足、免疫力の低下、ストレスなど、様々な悪影響を及ぼすことが考えられる

  次回は「現代人を蝕む不健康現象」の4つめ、「刺激の偏り」をご紹介します。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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