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脳の活性化に欠かせない「感覚の刺激」とボディマップ(体の地図)とは?

みなさんこんにちは。学芸大学駅前のパーソナルトレーニングジムSTUDIO BE FREEトレーナーの吉田です。

当スタジオでは猫背矯正をはじめとした体質改善トレーニングをご提供しています。

慢性的な体の不調の原因の1つは「脳のストレス」。この記事では脳のストレス改善に重要な「感覚の刺激」についてお話ししていきます。

目次

脳がない生き物はいるが、体がない脳はない

 突然ですが、脳がない生き物がいることはご存知でしょうか?

 具体的にはナメクジウオやホヤの幼生は神経の塊はあるものの、脳に相当する器官はありません。実は他にもこうした生き物は沢山います。しかし、それでもこうした生き物は水の中を泳いでいます。つまり生物が「動く」ということだけに特化して見れば脳という存在は必須ではないと言えます。

 その一方で、「脳だけの生き物=体がない脳」は地球上には存在しません。これは何を意味するのでしょうか?

脳が活動するには体から入ってくる感覚刺激が必要

上記の事実が示すのは「脳は体という入れ物がないと存在できない」ということ。もっと正確に言えば、「脳が働くには体から入ってくる感覚の刺激が必要である」ということです。

 以前ご紹介したように、私たちヒトは

①体から脳へ情報のインプット→②脳でインプットされた情報を処理→③脳から体へ信号をアウトプット→④アウトプットされた信号を基に筋肉が働き、体を動かす

という「脳と体のむすぶつき」のサイクルで動いていて、生きています。4つのサイクルはセットで、どれか1つが欠けても正常に体を動かすことはできません。

このサイクルの①こそ、脳が体なしでは正常に働くことができないという最大の理由でもあります。

体のセンサー(感覚器官)から脳に感覚の刺激がインプットされる

 体から脳へ情報のインプットとありますが、この情報こそが私たちが体で感じる「感覚」です。

感覚には、いわゆる五感と呼ばれる「視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚」の他、

・関節の位置などを感知する「体性感覚」

・頭の向きや、加速している方向を感知する「前庭感覚」

などがあります。

 こうした感覚を感知するのが体に備わった感覚器官と呼ばれるセンサーです。

センサーからのインプットで脳は「自分がどんな場所に、どんな体勢でいるのか」を知る。

少し具体例をあげてみましょう。

 急な坂道に立っていることを思い浮かべてください。上り方向を向いて立つか、下り方向を向いて立つかで、バランスの取り方が変化しますよね。この際、私たちは、

① 視覚から入る勾配の景色、耳の奥の前庭器官から入る前後どちらに体に体が傾くか、下肢の関節や足裏で感じる勾配の角度などを感覚情報として脳や脊髄にインプット

② こうした体のセンサーからインプットされた情報を脳や脊髄で処理し、「自分は今、上り坂に立っているのか、それとも下り坂に立っているのか」を認識。

③ 転ばないために最適な重心の位置やバランスの取り方を体に信号としてアウトプットし、

④ それを基に筋肉が働き、坂道でも転ばないように姿勢を調節する。

という流れで坂道でも転ばないようにうまくバランスを取ります。これは瞬時に、無意識のレベルで行って行っているのです。まさに「感覚器官というセンサーからのインプットを基に脳が働いている」という一例です。

体を動かすことでセンサーからのインプットが増え、脳は活性化する。

 このように脳と体は切っても切れない関係にあり、私たちは生きている限り脳と体の間では「インプット→処理→アウトプット」を繰り返しています。今、この記事を読んでいただいている瞬間もです。まさに「脳と体のむすびつき」です。

脳は体から感覚の刺激を絶えずインプットされることで活性化し、その機能を高めていきます。いわば感覚のインプットは「脳を成長させるための栄養」とも言えます。

 そして、この脳の成長に欠かせない感覚の刺激を送るには何が必要なのか?それが「体を動かすこと」、つまり運動です。

脳の中には「地図」がある!?ボディマップとは?

私たちの脳の中にはボディマップという「体の地図」があると言われています。このボディマップがあることで、私たちは無意識でも体を動かすことができるのです。

 例えば頭を洗うとき、シャンプーが目に入りそうになるのを我慢して鏡で頭の位置を確認せずに、目をつぶったまま両手で洗うことができます。

 一方、ボディマップがまだできていない赤ちゃんは頭がむず痒くても自分で描くことができません。成長の過程で徐々に自分の体の仕組みを覚え、無意識に体を動かせるようになっていきます。

 「この階段は1段の高さが○○cmだから、これくらい足を上げればつまずかないはずだ」などと考えなくても、スムーズに階段を上り降りできるのも、飛んできたボールをキャッチして投げ返すことができるのも、

・自分の手足の長さ
・どの程度に関節を曲げれば良いか
・力加減はどのくらいか

などを脳がボディマップとして把握しているからです。

ボディマップは更新されていく

 このボディマップは常に更新され続けます。私たちの皮膚や骨が新陳代謝によって新しく生まれ変わるように、ボディマップも日々塗り替えられていくのです。

 その際に必要なのが先ほど述べた「体からの感覚刺激」です。

 目から入る光(視覚)、耳から入る音(聴覚)、手足の関節や筋肉の動き(体勢感覚)、体の傾きや上下、前後への移動(前庭感覚)・・・こうした体から入る様々な感覚の刺激が地図に必要な「情報」となり、ボディマップは更新されていきます。

ボディマップがうまく更新できず「体が迷子」の人が増加中

ところが、現代人はこのボディマップの更新がうまく行かず、体の地図が歪んでしまっている人が増えてきています。その理由は

・デスクワーク中心の働き方
・車や鉄道などの利用による歩く機会の減少
・会社と家の往復

などといった現代のライフスタイルの特徴が影響し、体を動かす機会が減っていることです。

その結果、ボディマップの更新に必要な感覚刺激が減少したり、偏りが発生。地図に歪みが生じて「体が迷子」状態の方が増加しています。

ボディマップの歪みはストレスになる

ボディマップの歪みはストレスの原因になります。

 4足歩行の犬や猫と比べ、2足歩行のヒトは転んで頭を打つリスクが高い生き物です。そのため、五感による情報収集と脳から体への正しい信号、そして適切に体を動かし、転ばないで活動することが重要になるわけです。

 ボディマップが正常で「自分の体はどうなっているのか」を認識できれば、目をつぶっていても真っ直ぐ歩くことができますし、足元が柔らかくても転ばずにバランスを保てます。

 しかし、ボディマップが歪んでしまうと、脳は自分の体の位置が認識できず「転んでしまうかもしれない。危険に備えよ!」という信号を送ります。すると体の筋肉は必要以上の「力み」が入った状態になります。

ボディマップの歪みが慢性的な疲労や肩こり、腰痛を引き起こす

 このような状態が続けば、体は力が抜けなくなり、交感神経が不必要までに高まります。結果、体は「活動モード」のスイッチが入ったまま副交感神経優位の「休息モード」に切り替わりにくくなり、疲労が蓄積。

 さらに首や肩、背中の筋肉は過緊張のために肩こりや腰痛などの不調も引き起こします。

猫背の原因はボディマップの歪み!?

 また、ボディマップの歪みは姿勢を歪ませ、猫背の原因にもなります。

 私たちは地面の傾斜の有無や、座っている時、立っている時、しゃがむ時など、その時々の状況や場面に合わせて身体への負担が少ない姿勢を無意識に選択します。これもボディマップが正常であるからできることなのです。

 しかしボディマップが歪んでしまうと、脳は「自分の体の位置」がわからなくなります。その結果、自分ではまっすぐ立っているつもりが、猫背になっている・・・といった状態になってしまうのです。

まとめ

 今回は脳と感覚の関係、そしてボディマップの働きと、その歪みが生み出す体への悪影響についてお話ししてきました。次回は、実際に自分のボディマップが歪んでいないかどうかをチェックする方法をご紹介します。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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