現代のライフスタイルが猫背を招く
皆さんこんにちは。学芸大学駅前のパーソナルトレーニングジムSTUDIO BE FREEトレーナーの吉田です。
この記事では現代のライフスタイルの中に隠れた猫背の原因についてご紹介します。慢性的な猫背を矯正したい方、腰痛や肩こりにお悩みの方は必見です。
目次
- ○ 姿勢を調整するメカニズム
- ・脳の中にある「身体図式(ボディスキーマ)」
- ・身体図式の具体例
- ○ 昔の人は日常生活の中で身体図式をアップデートしていた!?
- ○ 現代のライフスタイルは身体図式をボヤけさせる!?
- ・ボヤけた身体図式が体を「緊張モード」にする
- ○ 脳へのインプットを増やす=運動が猫背を改善する
- ○ まとめ
姿勢を調整するメカニズム
猫背になる原因についてお話しをしていく前に、まず姿勢を調節しているメカニズムについて見ていきましょう。
脳の中にある「身体図式(ボディスキーマ)」
私たちの脳の中には「身体図式(ボディスキーマとも)」と呼ばれる「体の状態を把握する機能」が備わっています。これは私たちが日常生活の中で、意識していないレベルで身体がどうなっているか、自分の体に対するイメージのような機能です。
身体図式の具体例
身体図式が発揮する機能の具体的な例を1つご紹介すると、通勤ラッシュ時のような人混みの中を歩く場面があげられます。雑踏の中で人にぶつからずにスムーズに進むことができるのは、身体図式によって、
・自分の体の大きさ
・どのくらいの速さで動いているのか
・前を歩く人やすれ違う人との距離感
などを「身体図式」に基づいて脳が無意識かつ瞬時に判断しているからなのです。
そして「姿勢」もこの身体図式に基き、現在自分のいる場所や状況に合わせて、最適な姿勢を無意識にとっているのです。つまり、正しい姿勢や体の動作を遂行するには、この「身体図式」の精度が高い状態であることが必要なのです。
昔の人は日常生活の中で身体図式をアップデートしていた!?
江戸時代以前の人々は江戸から大阪へ、箱根の関所などを超えて、東海道をはじめとする街道を徒歩で向かっていました。
その過程で舗装されていないデコボコ道を歩くことで足裏のセンサーが刺激されたり、たくさん歩くことで、関節や筋肉のセンサーも多く刺激されていたでしょう。その他にも、
・視覚からの情報
・耳の奥にある身体の傾きセンサーである「三半規管」や加速度を感じる(自
分がどの方向に向かって加速しているかを感じる)センサーである「耳石器」による平衡感覚
など、様々な感覚が刺激をされていたと思われます。
このように、徒歩での移動や肉体労働が多かった昔の人々は日常生活の中で自然と脳の身体図式がアップデートされ、姿勢や身体の動きをコントロールする機能が高められていたと考えれます。
現代のライフスタイルは身体図式をボヤけさせる!?
翻って現代の生活を見てみましょう。移動は車や電車などが中心となり、仕事も肉体労働からデスクワーク中心の働きへと変化。さらに機械やインターネットなどのテクノロジーが発達し、自宅にいながら買い物ができるようにもなりました。
このように便利な生活になった反面、日常の活動量や運動量が減少しています。すると、「感覚刺激」の脳へのインプットが減り、身体図式はボヤけていってしまいます。結果、イメージ通りの姿勢がとれなくなり、「真っ直ぐ立っているつもりが猫背になっている」というような状態になってしまうのです。
ボヤけた身体図式が体を「緊張モード」にする
さらに、身体図式がボヤけると脳は現在の状態を「危険だ!」と判断します。目隠しをされた状態で街中に取り残されると緊張するのと同様、身体図式の精度が低下すると、脳は「体は今、どんな状態にあるんだ!?」と緊張し、「交感神経(こうかんしんけい)」と呼ばれる緊張モードをスイッチONにするのです。
その結果、背中の筋肉や胸、肩周りの筋肉の緊張が強くなり、骨盤は「前傾」といって反り腰の状態に。
さらに肩が前に引っ張られて、いわゆる「巻き肩」となり、現代人特有の「反り腰猫背」が出来上がってしまう!というわけです。
脳へのインプットを増やす=運動が猫背を改善する
このように、現代はたとえ特別不健康なことをせず、普通の生活を送っているだけでも猫背になるリスクがあると言えます。しかし、だからと言ってスマホやパソコン、インターネットはおろか、自動車や鉄道すらない100年以上前の生活様式に戻すわけにはいきません。
では、どうすれば猫背を予防、改善すれば良いかと言いますと、ズバリ「脳への感覚情報のインプットを増やす習慣」を取り入れること。すなわち運動です。体を動かすことによって得られる全身のセンサー(感覚器官)からのインプットが、ボヤけて低下した身体図式の精度を高め、「正しい姿勢と体の動き」を取り戻すことができるのです。
まとめ
今回は「現代のライフスタイルが猫背を招く」と題して、
・脳の中の「身体図式(ボディスキーマとも)」に基づいて姿勢や体の動きが正しい姿勢や体の動作が調整されている。
・脳は体を動かすことによって得られる全身のセンサー(感覚器官)からの情報のインプットによって身体図式は絶えずアップデートされている。
・現代のライフスタイルは体を動かす機会が減り、脳へのインプットが少なくなっているために身体図式がボヤけがち。その結果、正常な姿勢がとれず猫背の人が増えている。
とご紹介してきました。
次回からは具体的な猫背の改善方法などをご紹介していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。